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2【やってみなくちゃわからない】

私が新聞配達のアルバイトを
始めたキッカケは、

誰にも会わずに(話さずに)
出来る仕事だと思ったから。

実際、出勤してから帰宅するまで
誰一人会うことなく、
黙々とこなしていれば
お金になりました。

私には1番向いている仕事だ、
と思いました。

なぜなら私は話すことが苦手。

私が喋るとロクなことが起きない。
一言話すと地獄に突き落とされる。
沈黙こそが金(きん)だと、

育った環境の中で
私は思い込んできました。

私の生い立ちなんて複雑すぎて
退屈な話なので、ここでは
断片的な話しかしませんが…

とにかく私は人と関わることが
できない人間だと思っていました。

ところが諸事情により
朝刊配達アルバイトから、
普通の会社で言う正社員の
専業員にならざるを得なくなり

私は新聞販売店の仕事
全般をするようになりました。

集金、クレーム処理、営業。

どれもこれも、それまでの
私には考えられない仕事でした。

インタフォンを鳴らすのが
怖くてたまりませんでした。

「留守だったらいいのに」と思いました。

でも、仕事は進みません。
何度もお客様に会うまで
訪問しなければなりません。

会ったら会ったで、

足はガクガク震え、
頭はパニクり
話はしどろもどろ。
相手の顔さえ見れませんでした。

きっと私は顔どころか
恥ずかしさと恐怖で
耳まで真っ赤にしていたはずです。

基本的にお客様は、
新聞屋の訪問を
快くは思っていません。

でも私がなぜ訪問したのかを
伝えるとドアを開けてくれました。

訪問理由についてお客様の
メリット、デメリットを話し、

お客様の質問にわからないことは
正直に分かりませんと答え、
調べて再訪問を約束します。

そして販売店側からのお願いを
確認して、承諾をいただきました。

自分がお客様の立場なら
こうだろうな、
ああだろうなって思うことを
考えて訪問しました。

誠心誠意、お客様と向き合いました。

拙い話を馬鹿にされた時も
ありました。
笑われた時もありました。

一方でお客様から
励まされたこともありました。

毎日のお客様との出来事を
当時の店長に話して
アドバイスをもらいました。

店に私が帰るまでに
店に私の苦情の電話が
入っていることもありました。

けれど小さな私の努力、
誠心誠意お客様に接し、
店長に細かい報告をして
アドバイスをもらい

少しずつ改善していくことで
営業成績を上げていくことが
できるようになり、

人に話すことへの恐怖が
減っていきました。

一軒集金できた。
一件契約してもらった。

小さな成功体験は、
積み重ねると自信になりました。

やってみなくちゃ
わからないものですね。

ブレーキをかけているのは
案外、自分自身なんですね。